ETWAS - 言語学事始 -

拙筆ながら言語、歴史、文化をテーマに書いています。応援していただけると嬉しく思います。

有名な言葉

ラテン語はローマ帝国で使われていた言葉である。

ローマ帝国が滅んだあとも知識人らの共通語としてギリシャ語と共に広く学ばれてきたという。自分が興味を持つに至ったのは英語の歴史を調べていてのことだ。

 

ラテン語の入門の入門のような本「ラテン語のはなし」を一読した。この中で有名な言葉が取り上げられていたのでいくつか簡単に紹介したい。

 

1.  cogito, ergo sum. われ思う、ゆえに我あり。

言わずと知れたデカルトの言葉だ。言葉だけは昔から知っていた。

しかし、どこに主語があるのか?言葉が短すぎないか・・・と昔の自分は難しい言葉だなと頭のゴミ箱に放り投げていた記憶がある。

 

ラテン語は、イタリア語やスペイン語と同様に主語を通常付けない。

主語がなくても動詞の語尾変化で動作主がわかるからだ。

cogito<一人称単数>「(私は)考える」

ergo 故に

sum<一人称単数>「(私は)~である」

英語だと「I think, therfore I am」のようだ。

コギト・・・エルゴ・・・スム・・・

なぜか「三つ目がとおる」を思い出してしまう。

 

2. veni, vidi, vici.  来た、見た、勝った。

ユリウス・カエサルがゼラの戦いに勝利し腹心に送った言葉らしい。

スエトニウス「ローマ皇帝伝」が出典となっている。

-i は一人称完了形を表す。

 

一人称単数現在形 - 完了形

venio - veni

video - vidi

vinco - vici

 

完結に述べていると絶賛の言葉である。短すぎる気もする・・・

最近ガールズ&パンツァーの歴女チーム戦車にも印字してあったっけ。

 

日本にも簡潔な文章で名文と呼ばれるものがある。

「敵艦見ユトノ警報ニ接シ 連合艦隊ハ直チニ出動 コレヲ撃滅セントス、
本日天気晴朗ナレドモ波高シ」  秋山真之

 

3. SPQR 元老院とローマ市民

senatus populusque Romanus

-que は単語の後ろにくっついて「~と」を表す。

テルマエ・ロマエでお馴染みですね。

アメリカの上院senateはこれが元ネタみたいです。元老院か!

 

4. memento mori . 死を想え。

出典:ホイジンカ「中世の秋」

memini <一人称単数完了>思い出す、覚えている、常に気にかけておく

mori: morior<一人称単数>死ぬ の不定形

余談だがラテン語辞書では単語は通常一人称単数現在の形で載っているらしい。

このmeminiは完了しかないらしく、meminiで載っているそうだ。

 

5. nullius addictus iurare in verba magistri

   いかなる師の言葉にも、忠誠を誓うべく、縛られてはおらず

出典: ホラーティウス「書簡詩」第1巻 1番

 

この本自体が一章ごとに名文を取り上げて解説する構成になっている。

その中で一番多く取り上げられていたのがホラーティウス「書簡詩」であった。

あとで詳しく調べていようと思います。

 

誰かひとりだけを師と仰ぎ、その学説に何から何まで盲目的に服従することを己に禁じる。

 

この本で一番の収穫はこの言葉かもしれません。

座右の銘にしても良いくらいです。

 

 

ラテン語のはなし―通読できるラテン語文法

ラテン語のはなし―通読できるラテン語文法